閑かさや岩にしみいる蝉の声
松尾芭蕉が山形県の立石寺で詠んだ俳句で、日本人であれば一度は耳にしたことがあるでしょう。
このセミの声は「アブラゼミ」か「ニイニイゼミ」がで大論争が起きたことがあるそうです。で、結果は「ニイニイゼミ」らしいです。
昔は関東地方に「クマゼミ」はほとんどいなかったのですが、平均気温の上昇に伴いクマゼミの生息域も北上しているそうです。
もし松尾芭蕉が「シュワーシュワーシュワーシャワシャワシャシャシャシャ――――!!」と、風情もへったくれもない喧しいクマゼミの鳴き声を聴いていたら名句は生まれなかったでしょうね。
近所の横浜スタジアム周辺もすっかりクマゼミに占拠されており、鳴き声というよりは騒音に近い状況です。
これからセミ真っ盛りになるので、夜の横浜スタジアムで「セミの羽化観察」をしてきました。
夜になるとどこからともなくヒキガエルが登場。
地中から出てきたセミの幼虫を片っ端から食い尽くします! なので、今の時期はどのカエルも腹がパンパンで逃げる事すらできません。で、朝になってもチンタラしているカエルはカラスに捕食される…、という自然連鎖になります。
いたいた!
カエルに遭遇しなかったセミの幼虫が、鋭い前足を木肌に引っかけて一心不乱に登り始めます。
周辺に木のない時は、何でも良いので地上から離れて羽化ポイントを探します。これは公園の花壇を囲っているロープ。
既に頭がぱっかり空いてセミの頭がコンバンワ状態です。
身体をくねらせて少しづつセミのボディーが出てくる様子。短気な齋藤は見ているだけでイラついてしまうので、自然現象に反して引っ張り出してやろうかな、と思ってしまいます。
なんで落下しないのかな~…?と感心しながら3枚の連続写真を撮るだけで約15分間。待っている間に蚊に30か所位刺されました…。
羽化したてのセミは全てが半透明。街の光に照らされて神秘的ですね。
至る所で羽化が見れます。
珍しいセミの幼虫!と観察してみるとゴキブリ…。
ドでかいクモもセミの幼虫を狙っています!
木に登ることができずに命を落とすセミの幼虫も沢山いるます。そんなサバイバルを生き抜いて羽化したセミの寿命は約10日間前後…。
セミの鳴き声が喧しい!と思うこともありますが、「命がけの困難を乗り越えて生命を謳歌している」と考えればセミの鳴き声がレゲエに聞こえてきます…。