老人ホーム業界のうなぎ大好き人間の皆様、ご無沙汰しております。
5年ぐらい前までは「うなぎ」が大嫌いな齋藤です。ちなみに、うなぎに似た食べ物「あなご」は未だにキライです。
2か月に1回、長野県の有料老人ホーム紹介センターへサポートしに行っています。
諏訪、塩尻、松本を中心に有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅の情報提供をしているところなので、「うなぎの町:岡谷市」にお邪魔することも多くあります。
諏訪湖から天竜川に水が注がれているところ。
岡谷市は諏訪湖や天竜川での漁業が盛んな土地柄、郷土食としてうなぎ料理や川魚料理が親しまれているそうです。
諏訪湖周辺は約15店ぐらいのうなぎ屋がしのぎを削っている「うなぎ激戦区」でもあります。
そんな中、地元民からの情報を頼りにうなぎリサーチをしたところ、ある一軒のうなぎ屋が浮かび上がってきました。
その店は諏訪湖と天竜川がジョイントする場所にほど近い場所にありました。
店の近くにいるだけで、うなぎのタレが焦げる香りが齋藤の鼻の粘膜をくすぐります。
「甘めのタレが焦げるニオイがするぜ~」と、期待に胃袋を膨らませ、店ののれんをくぐると…
玄関には水槽が…。何やら蠢く怪しい生物…。よ~く凝視していると…
「ムム―――ッ!! コイツはもしやアニサキス!?」 一瞬にして齋藤の食欲が減退しました。
まさかアニサキスを店先で泳がすバカはいないだろう…、と気を取り直してもう一度怪しい生物を凝視してみると…。「こいつはたまげたぜ~…。うなぎの稚魚じゃねーか!」
現代科学を持ってしてもうなぎの生態系はまだまだ謎が多いらしいです。44才の齋藤は初めて見るうなぎの稚魚に興味深々。エレガントに泳ぐうなぎの稚魚を10分ぐらい眺めていました。
ふと我にかえり「そろそろ腹が減ってきたな…」と店内を見ると…
カウンターで一心不乱にうなぎをむさぼるお客さん。
皆さん静かにうなぎと会話していました。本当に美味しいと口数が減るもんです。
「こいつは期待できるぜ~」
更に10分ぐらい待ったでしょうか…。座敷に通され、テーブル上のランチョンペーパーです。
サッパリとしたセンスあるデザインですね。
「デザインはサッパリしているがうなぎは脂っこいんだろうな~」とほくそ笑んでしまいます。
メニューを見ていると「新仔うな重」と、あまり見かけないものがありました。
数量限定とか書かれてしまうと、心理的に揺さぶられてしまいます。まだ注文できるとのことで、少し奮発して「新仔うな重」を注文してみることに。
「いつもはすぐに売り切れちゃうからラッキーだよ」と、期待が高まるお言葉をいただきました。
運ばれてきた重箱からは「新仔」の気配を感じませんでした。
この時点では特にテンション上がらず…。 とりあえずフタを開けてみると…
「ムム―――ッ!! いつも食べているうなぎより肉厚のような気がするぜ~」
「新仔うなぎ」の知識もなく取り合えず注文してみましたが、店員の「まだ残っていてラッキーだね」の意味が分かったような気がしました。 パクリとうなぎを頬張ります!
「ムゥ~…、コイツはたまげたぜ~。大ぶりなのに身がとろけるような感覚…。デリィ―――シャス!!」
大きめのうなぎは少々パサつき感というか硬さというか…、うなぎのタレで全てを包み込んでしまっている感じですが、「新仔うなぎ」は今まで食べたうなぎとは全く異なります。
「肉厚でしっとりとした上品な脂」にうなぎのタレが弾けている感じ。
齋藤も他のお客さん同様に、一心不乱にうなぎと格闘していると…
「お好みで薬味もどうぞ」と運ばれてきたのがコレ。
脂の乗りが半端ないのでこれらの薬味が提供されます。
・わさび ・おろしショウガ ・柚子こしょう
口の中がうなぎの脂で充満してくるので薬味でアクセントをつけます。
わさびが添えてある店は時々ありますが、おろしショウガと柚子こしょうはあまり見かけたことがありません。全て試しましたが、個人的にはおろしショウガが一番好みでした。
大満足の新仔うな重でした。食後のドリンクにお茶でもいただくかな~、と思っていたら…。
「ムム―――ッ!! なんでこういうドリンクを作っちゃうかな~」と少々痛いアイテムを発見。
これで町興しをするにはインパクト薄いね、なんて考えながら裏面を見てみると…
「ムム―――ッ!! うなぎ屋でパンツ売るバカがいるか―――ッ!」とは言いませんでしたが、パンチの利いたアイテムが売り出していました。
こんな稚魚みたいなデザインじゃ売れないよ、もっとデカいうなぎをプリントしないと。
パンツ買ったらビニール袋に入れないで重箱に入れて出してほしいですね。
このパンツが似合うのはクリスチャーノ ロナウドぐらいでしょう。
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あまりにも美味しいうなぎだったので「新仔うなぎ」を調べてみました。
【新仔うなぎ】 ※ポイントを抜粋して箇条書き
・養殖ふなぎは1年以内で食べられるようになる
・それより長くなると大きくはなるが身が固くなり美味しくない
・天然うなぎの成長はずっと遅く、3年~5年かけて成体になるらしい
・そんな中、一際成長が早いうなぎがいるそうです。それを「新仔」といいます
・うなぎの成長過程で何度かの選別があるそうです。サイズを分けるためでしょうか
・池のうなぎを全部出して大きさごとに分け、また出して分けて…、を繰り返しているうちにやたら成長スピードが速いうなぎが見つかるそうです。
・分別を繰り返しているうちに、やたらと成長スピードが速いうなぎのグループができます。これが「新仔うなぎ」として商品化されます。
・大きいですがまだ若いで身が柔らかいのが特長。大人のうなぎは身が固くなりますからね。
・関東のうなぎは「蒸し」の工程がありますが、蒸さなくてもとろけるような食感です。
もしもうなぎ屋で「新仔うなぎ」を見かけたら、迷わず注文してください。
きっとうなぎがもっと好きになるでしょう。
【最後に】
どんな美味しい食材を提供しても、料理人がどんなに凄腕でも、最後に味を決めるのは「店員の接客」だと思います。
今回お世話になったうなぎ屋は相当な人気店だったと思います。名前が売れてくると態度が横柄になってくるものです。これは料理屋に限らず、我々の仕事も一緒です。
こちらのお店はどんなに忙しくても笑顔を絶やさず、お客さんからの注文にもテキパキと答え、ちょっとした声掛け(先回りした配慮)も忘れない。
美味しいうなぎをいただき、仕事に対する姿勢も学ばせていただき、心身共に大満足したことを考えるとお安い昼食だったような気がします。